東芝とPacketLight、DWDMリンクにおけるQKDとの接続を検証
株式会社アイランドシックス – 2024年4月23日
DWDMおよびOTN機器のリーディングプロバイダーであるPacketLight Networks社の国内総代理店であるアイランドシックスは、量子鍵配送（Quantum Key Distribution：QKD）技術のリーディングカンパニーである東芝デジタルソリューションズ社(以下、東芝)の協力を得て、DWDMリンク上でQKDシステムの実用化に向けた実証実験を行い成功したことを発表します。 現在のQKDシステムでは、ベンダー間の相互接続性とDWDM上での多重化が課題でした。本実証実験では、効率的でセキュアかつスケーラブルな量子セキュア通信ネットワークの構築を目的として、東芝のQKDシステムとPacketLight社のOTN暗号化伝送機能のシステムソリューション化の可能性を検証しました。2月に開催されたさっぽろ雪まつりに合わせて行われた国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT：エヌアイシーティー）主催の雪まつり実験（注）において、札幌と沖縄の２会場でそれぞれ行いました。 東芝とアイランドシックスの合同プロジェクトチームは、従来のDWDMデータ信号とQKDを同時に伝送し、QKD暗号による量子セキュアなデータ伝送を実証する一連の詳細な評価を通じて、QKDと光ネットワークインフラとの互換性を検証し、その実用性を示しました。
さっぽろ雪まつり期間中の札幌会場では多重QKDリンクを、沖縄(北部広域ネットワーク)会場では70km超の長距離QKDリンクを実証し、2種類のQKDネットワークでの実証を行いました。
沖縄における長距離QKDリンクは東芝の長距離QKDシステムと、PacketLightのPL-4000M マックスポンダを使用し、量子チャネルが1550nmで動作する74kmの長距離リンク上で2つの200G波長を伝送しました。リンク性能は100Gテスターで測定され、RFC2544規格に準拠した100%のスループットと低遅延を示しました。
沖縄(北部広域ネットワーク)での長距離QKDリンク構成図
沖縄(北部広域ネットワーク)での実証実験の様子 (上写真：東芝QKDシステム、下写真：試験用映像伝送装置)
札幌における多重QKDリンクは東芝の多重QKDシステムと、PacketLightのPL-4000M マックスポンダを使用して400G波長を伝送し、量子チャネルは1310nmで多重化され動作しました。東芝の多重QKDシステムは、量子チャンネルにＯバンドを使用することで、データ通信チャンネルにCバンドを利用でき、データを運ぶ光ファイバーを共有した運用ができます。
札幌での多重QKDリンク構成図
札幌での実証実験の様子（PacketLight PL-4000M, PL-300他）
札幌における多重QKDリンクにおいてPacketLightと東芝は、QKDで保護された信号が同じ光ファイバーネットワーク上で従来のデータ伝送と同じ空間を共有できることを実証し、QKD技術が光ファイバーを別途用意することなく、現在の既存ネットワークに容易に導入できることを示しました。既存の光ファイバーネットワーク上でQKDを使用することで、QKD伝送に専用光ファイバーを使用する必要がなくなるため、大幅なコスト削減と展開速度の向上が実現します。
東芝デジタルソリューションズ株式会社ICTソリューション事業部ＱＫＤ事業推進室 シニアフェロー 村井信哉氏は次のように述べています。
「アイランドシックス様との実証実験が成功したことをうれしく思います。東芝グループでは、東芝欧州社・ケンブリッジ研究所にて、1999年に基礎研究を開始して以来、多くの世界初となる技術を実証し、量子暗号通信技術をリードしてきました。今回の実験によりPacketLight社機器と接続した環境での動作が確認されたことで、より多くのお客様が利用できるようになりました。今後も量子暗号通信の普及に向け、パートナー様と連携したソリューション提供を進めてまいります」
PacketLight社のCEO Koby Reshef氏は次のように述べています。
「東芝様のQKD技術とPacketLightのDWDM/OTN装置の統合は、より安全なデータ伝送への道を開くものです。私たちはこの協力に関与できたことを誇りに思うと同時に、この協力がもたらす新たな機会に対する市場の反応を心待ちにしています。」
毎年開催される雪まつり実験は、NICT主催のもと、企業・大学・研究機関が参加し、最新の技術を検証する実験に参加する場です。研究者、技術者、学生が実践的な実施・運用を通じて技術的な知見を共有する貴重な場となっています。
（注）NICTの総合テストベッド研究開発推進センターが主催し2024年2月に行われた「超高精細映像を用いた広域映像配信実証実験」で、NICTと産学官約70組織がそれぞれ技術や人材、機材を持ち寄り、札幌・東京・大阪・沖縄などの複数拠点を結んで実施 されました。
東芝デジタルソリューションズについて
東芝デジタルソリューションズは、東芝グループのデジタルソリューション事業を担う企業としてIoTや人工知能（AI）などのデジタル技術や量子技術を活用した事業をグローバルに展開しています。東芝グループの幅広い事業領域で生まれるさまざまなデータの力を最大限に活用し、プラットフォーム化を推進することで価値あるサービスを次々に生み出し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。東芝グループの経営理念「人と、地球の、明日のために。」のもと、お客さまやパートナーの皆さまとともに、新しい価値を持続的に創造していきます。
PacketLightについて
PacketLight社は、20年以上にわたる光ファイバーネットワーキングの経験を生かし、キャリアグレードのDWDMおよびOTN装置を提供し、光ファイバー層全体のトランスポートソリューションを提供し、CAPEXおよびOPEXを削減する。PacketLight社のソリューションにより、通信事業者、データセンター、企業、コンテンツプロバイダー、ダークファイバープロバイダー、大学、政府・防衛機関は、大容量データ配信の需要に卓越したサービスで応えることができます。
https://www.packetlight.jp/
本件に関するお問合せ
PacketLight Networks国内総代理店
株式会社アイランドシックス 山口 闘志
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